ロシアは世界有数のカニ輸出国として知られています。極東地域やカムチャツカ半島で水揚げされるカニは、その品質の高さから日本や中国、韓国をはじめとする各国で高い評価を受けています。
ところが、ロシアではカニを脚しか食べないので、輸出が主流なのは以外ですよね。
ロシア人はカニを一切食べる文化がないって知って驚いた。めっちゃカニ獲ってる国やんけ。
— Orca DJ 原油天然ガス日経225祈祷師 (@komekomehemorex) September 12, 2024
また、調査した結果、ロシアではカニを食べないというより、現在のロシアでは食べることができないのが現実だということが分かりました。
この記事では、ロシアはカニを食べないで、カニ産業が輸出に力を入れている理由や、ロシア人の食文化との関係を掘り下げ、国内消費を促進するための可能性や課題について解説していきます!
ロシアのカニ産業の現状と輸出志向
ロシアは昔カニ獲っても脚だけもいで胴体を捨ててた(カニ味噌食べないから)けど今はどうなんだろ
— 本田🐼 (@m0gm0gsan) November 20, 2024
ロシアのカニ産業は輸出を中心に発展してきたため、国内で消費されるよりも、海外での需要に応える形で産業が成長しています。
以下に、ロシアのカニ産業の現状を示すポイントを挙げます。
- カニ漁の主要地域と輸出市場
- 輸出が国内消費を圧迫する構造
では、ロシア産カニがどのように漁獲され、どこに輸出されているのでしょうか?
カニ漁の主要地域と輸出市場
ロシアのカニ漁は主に極東地域やカムチャツカ半島周辺で行われ、特に、日本海やオホーツク海はカニの豊富な漁場として知られています。
ロシア産カニは品質が高く、世界市場での需要が高いのが特徴で、主要な輸出先は日本、韓国、中国、アメリカで、これらの国々が2013年までロシア産カニの約90%を占めていました。
ロシア政府も漁業の効率化を重視し、カニ輸出の国際競争力を高める政策を推進しています。
漁獲量の多くが輸出に回る一方で、国内市場には限られた量しか供給されていません。
輸出志向の産業構造が、ロシア国内でのカニ消費を制約することで、食べれないのが現実なようです。
輸出が国内消費を圧迫する構造
ロシアのカニ漁業は、輸出で得られる外貨収入を重視した結果、国内市場での流通量が少なく、価格が高止まりしています。
このような構造には以下の要因があります。
- 輸出市場での需要が安定して高い
- 国内の物流インフラが整備不足である
- カニが国内で高級品と見なされている
たとえば、カムチャツカ地方では地元の人がカニを手に入れられる機会が限られています。
また、物流コストが上乗せされ、都市部に到達する頃には一般家庭が購入するには高価になっているので、国内消費を増やすには、輸出と国内供給のバランスを見直さないといけないようです。
ロシア人がカニをあまり食べない文化的理由
ロシアではカニを食べる習慣が一般的ではありません。
これは、文化的、宗教的、そして地域的な要因が複雑に絡み合っているからです。
ロシア人がカニをあまり食べない理由は以下の通りです。
- カニはぜいたく品とみなされる
- 地域による消費の偏り
- 宗教や伝統との関連性
これらの背景を理解することで、ロシアの食文化におけるカニの位置づけが見えてきます。
カニはぜいたく品とみなされる
ロシアではカニは高級品のイメージが強く、これは価格の高さだけでなく、特定の階層や特別な場面で消費される食品であることが原因です。
たとえば、多くの家庭では肉や魚といった安価で手に入りやすい食品がメインなので、カニは祝祭や特別な行事やお祝いでのみ食べれる食品とされています。
ロシアの食卓におけるカニは、日本のように手軽に食べられる食品ではないようです。
地域による消費の偏り
ロシア国内では、カニの消費量に大きな地域差があります。
「カニ漁が盛んな地域」例えば、極東地域やカムチャツカ地方では、比較的カニを食べる習慣が根付いています。
一方で、「都市部」のモスクワやサンクトペテルブルクなどでは、カニは「ぜいたく品」として扱われ、特別な商品として扱わているので購入の障壁が高いです。
また、「内陸部」ではカニを含む魚介類自体の流通が少ないので、食べる機会がほとんどありません。
<ロシア国内のカニ消費に地域差がある原因>
- 漁業地帯と消費地との距離
- 物流インフラの未整備
- 文化的な嗜好の違い
たとえば、極東地方の地元市場では、カニが比較的手頃な価格で販売されているのに対して、同じカニでも都市部だと、物流コストや流通過程での手数料が加わり、価格が数倍になるケースも珍しくありません。
宗教や伝統との関連性
ロシアの食文化には、宗教的な影響が色濃く反映されています。特にロシア正教では、大斎(断食)と呼ばれる期間に肉類や動物性食品を控える習慣があります。
大斎期間中でも魚は許される場合が多いですが、カニは必ずしも一般的な「魚介類」とみなされないことがあるので、伝統的な宗教行事がカニ消費を制限する要因の一つとなっているんです。
また、ロシアの多くの地域では、カニよりもハムやソーセージといった加工食品が食文化の中心なので、カニは特別な食品となっています。
事実、伝統的なロシア料理の中にカニを使ったレシピがほとんど存在しません。やはり、家庭料理としてカニを使う機会がないことが、ロシア国内でカニが食べれない原因の一つと言えます。
ロシア産カニ貿易の闇!IUU漁業とその対策
ここまでにご紹介したようにロシアでは、積極的なカニ貿易を行っています。ですが、積極的なカニ貿易に対して、過剰すぎる貿易だとしてきする声もあがっています。
では、ロシア産のカニに対してどのようなことが起きているかについて詳しく解説して行きたいと思います。
ロシア産カニ貿易に潜む中継貿易の闇
2014年の日露二国間協定後、ロシア産カニはオランダや韓国を経由する中継貿易が増加しました。
ロシアからオランダへの輸出量は2013年の2,328トンから2020年に15,885トンと急増し、保税倉庫を経由して日本やアメリカへ輸出されています。
この流通形態には、IUU(違法・無報告・無規制)漁業由来のカニが混入するリスクが高いと指摘されています。
日本の水産物消費の約30%はIUU漁業由来
日本の水産物消費の約30%はIUU漁業由来とされ、これが正規の漁業者に経済的損害を与えています。また、IUU漁業は低価格で取引されるため、持続可能な漁業を脅かしています。
特にロシア産カニはそのリスクが高く、持続可能な消費が求められます。
IUU漁業の対策
WWFジャパンは流通適正化法の強化を提言し、IUU漁業撲滅に向けた国際的な規制の重要性を訴えています。未来の食卓にカニを残すためには、透明性のある流通と資源保護の取り組みが不可欠です。
ロシア産ズワイガニから見る資源管理の現状と未来
ここまでに、ロシア産のカニに対してネガティブなものが多かったですが、実は、ロシアでは、ズワイガニを未来に残すための取り組みも行っています。
この取り組みは、日本でも重要な問題であり、ロシアなどの資源管理の取り組みを積極的にその成功例を参考にし、持続可能な漁業管理を早急に進めることが重要です。
では、ロシア産ズワイガニに対して、ロシアが行った資源管理の対策とはどういったものかを紹介していきます。
ロシアでは資源保護の結果漁獲量がアップ
ノルウェーとロシアでは、メスを漁獲せず資源保護に努めた結果、2024年には漁獲枠が2.6万トンに達し、日本の10倍以上となっています。
また、アラスカでも資源が回復しており、2025年には漁が再開される予定です。
日本のズワイガニ漁は資源回復が遅れている
日本ではメスの漁獲が行われており、資源回復が進まない状況です。漁獲枠の共有地の悲劇(早獲り競争)が課題で、科学的根拠に基づいた管理が遅れています。
このままでは資源の持続可能性が危ぶまれます。
日本でも今後同様の対策が必要!
ノルウェーとロシアは、科学的根拠に基づき、15年間漁を待った結果、資源を大幅に増やしました。アラスカも必要に応じて禁漁を行い、長期的な資源保護を優先しています。
日本も科学的管理、メスの保護、個別割当方式を導入する必要があります。
ロシア カニ 食べないに関連したよくある質問4選!
1.Q: ロシア産のカニが安い理由は何ですか?
A: ロシアは広大な漁場を持ち、漁獲量が豊富なため、供給量が多いことが価格を抑える一因です。また、現地での労働コストが比較的低いことも影響しています。
2.Q: タラバガニはロシア以外では獲れないのですか?
A: タラバガニはロシアだけでなく、アラスカやノルウェーなどの北極圏でも漁獲されています。ただし、ロシアが主要な供給国です。
3.Q: ロシアのタラバガニの旬はいつですか?
A: ロシアのタラバガニは11月から3月が旬とされています。この時期は身がぎっしり詰まっており、味が濃厚です。
4.Q: ロシアのカニの主な輸出先は?
A: ロシア産のカニは日本や韓国、中国、アメリカが主な輸出先です。特に日本では品質の高さから高い人気があります。
まとめ:輸出と国内消費のバランスを取るには
ロシアのカニ産業は、輸出志向が強く、国内消費が後回しにされている現状があり、産業構造だけでなく、文化的背景や流通の課題によるものです。
ロシア国内でカニ消費を増やすには、以下の取り組みが必要です。
- 物流の改善と地元市場の活性化
- カニを使った家庭料理の普及
- 消費者意識を高めるプロモーション活動
これらを実現することで、ロシアのカニ産業が輸出と国内消費のバランスを取り、持続可能な成長を遂げる可能性があるといえます。
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